脂漏性皮膚炎とは、皮脂の分泌量が多いために起こる疾患です。過剰に分泌された皮脂が肌上で酸化したり、皮脂を餌に雑菌が繁殖したりすることで、湿疹や炎症などを引き起こします。
治療には主にステロイド剤などが処方されますが、もともとの原因は皮脂の過剰分泌にあるので、薬物療法だけではなく、皮脂の分泌を抑えるために生活習慣の改善が求められます。中でも、食事の改善は特に重要です。
というのも、身体というものは、食べた物を基にして作られているからです。
では、いったいどのような食事メニューにすればいいのでしょうか。下記に挙げていきます。
脂漏性皮膚炎を改善するためのおすすめの食事メニュー
脂漏性皮膚炎を改善するには、まず皮脂の分泌量を減らさなければなりません。
そのために是非心がけておきたいのは、ビタミンB群と、ビタミンCを中心とした食事メニューです。
ビタミンB群は、主に肉や魚、大豆などのたんぱく質に含まれています。
その中でも、特にビタミンB2とビタミンB6は、互いに協力し合って、皮脂の分泌量をコントロールする働きを持っています。ビタミンB2は、レバーや納豆、葉野菜などに多く含まれ、ビタミンB6は、バナナや魚(特にカツオやマグロ)などに多く含まれています。
また、美肌の代名詞とも言えるビタミンCは、皮脂の過剰分泌を抑えるだけでなく、酸化を防止する働きもあります。
レモンやオレンジなどの柑橘類、緑黄色野菜などに多く含まれています。
ただし、ビタミンBもビタミンCも熱に弱く、加熱すると壊れやすくなります。
そのため、生で食べられる形で摂取するのがお勧めです。たとえば、果物や葉野菜は、加熱せずに済むサラダなどにして食べると良いでしょう。納豆は苦手な人も多いでしょうが、そうでない人は手を加えずにそのまま食べ、カツオやマグロは刺身で食べるようにしましょう。
さらには、これらは「水溶性ビタミン」といって、尿に溶けて簡単に対外に排出されてしまいます。
一度に多量に摂取しても、体内に貯めこむことはできません。そのため、毎日少しずつ摂取していく必要があります。
朝食には納豆かバナナを食べる、一日一杯オレンジジュースを飲む、いつものメニューにサラダを一品追加するなど、簡単にできるところから改善を行いましょう。
脂漏性皮膚炎を悪化させるNG食事メニュー
いくら皮脂の分泌量をコントロールしようと心がけていても、そもそも大量の油を摂取しているようでは、元も子もありません。
皮脂を誘発するようなメニューを続けることで、脂漏性皮膚炎は悪化してしまいます。
トンカツや唐揚げなどの揚げ物や、スナック菓子、脂っこい部位の肉など、明らかに油分を多く含んでいるような食事は、当然ながらNGです。また、カップ麺などのインスタント食品も避けるようにしましょう。
皮脂は、中性脂肪から作られます。たとえば、バターや生クリーム、チーズなどの動物性脂肪、砂糖や果糖、アルコールなどが、中性脂肪を増加させる食べ物です。
また、血糖値の急上昇を引き起こすような食べ物(いわゆる高「GI食品」と呼ばれているもの)も、皮脂の分泌につながります
これは、血糖値の上昇時に分泌させるインシュリンという物質が、皮脂腺を刺激する作用をもたらすからです。
高GI食品の代表は、グラニュー糖や白米、小麦粉などの精白された加工食品、ジャガイモなどです。
こうやって見てみると、NGメニューを忠実に守ろうとすると、かなりの食事メニューが制限されます。
たとえば一見健康そうな和食メニューでも、煮つけには大量の砂糖が使われています。
白米も小麦粉もジャガイモもNGとなると、主食は玄米か蕎麦くらいしか残りません。
ケーキやクッキーなどの洋菓子には、バターもグラニュー糖も大量に入っていますし、場合によっては生クリームやクリームチーズも使われています。
これらをすべて断つことは不可能です。
お菓子や菓子パンを食べすぎないようにする、グラニュー糖ではなく黒糖を使うようにしてみる、白米でなく玄米や五穀米を食べる日を作るなど、できるところから工夫していきましょう。
脂漏性皮膚炎に酒やたばこの嗜好品の影響は?
食事メニューだけでなく、普段から何気なく摂取している嗜好品にも、気を付けなければならない点が多々あります。
たとえば、先程NG食事メニューでも挙げたとおり、アルコールは中性脂肪を増やす働きを持っているため、多量の飲酒は脂漏性皮膚炎の悪化につながります。
少量であれば問題ありませんが、居酒屋などで出されるメニューは脂っこいものが多いため、飲酒の際はおつまみにも注意しましょう。
あまり関係ないと思われるタバコも、実は脂漏性皮膚炎には悪い影響を及ぼします。
喫煙により、脂肪分解酵素や、肥満を抑える物質の分泌が抑制されるためです。それにより中性脂肪が増加し、結果的に皮脂が増加するのです。
脂漏性皮膚炎を本気で治そうと思ったら、これを機に断酒や禁煙に踏み切るのも良いかもしれません。
また、嗜好品の代表格とも言えるコーヒーや紅茶も、実はあまり良くありません。
というのも、カフェインを摂取することにより、ビタミンBの吸収が妨げられるからです。
ビタミンBが皮脂の分泌量をコントロールする大事な物質だということは、先ほど述べた通りです。
NGメニューと同じで、嗜好品をいきなり完全に断つというのも、また難しいことです。まずは量を少なくするなどして、摂取量をコントロールするところから心がけましょう。
脂漏性皮膚炎が治ったあとも食事メニューに気を付けたほうがよい?
脂漏性皮膚炎が治ったからといって、再び皮脂の過剰分泌を招くような食生活に戻れば、もちろん再発のリスクは高くなります。
つまり、治った後も油断せず、そのままの食事メニューを続けたほうが賢明と言えるでしょう。
また、これらの食事メニューを心がけることは、糖尿病などその他の生活習慣病のリスク回避にもつながります。
脂漏性皮膚炎の再発を防ぐだけでなく、今後の健康にもつながるものだと考えて、治療後も食事メニューには気を付けていきましょう。
参照サイト
さぎのみや皮膚科クリニック 脂漏性皮膚炎https://www.saginomiya-hifuka.com/seborrheic.html
グリコ 栄養成分百貨http://www.glico.co.jp/navi/dic/index.html
中性脂肪を下げるABC http://www.neutral-fat-o-sageru.com/